金への投資にはさまざまな方法がありますが、代表的なのは金のETF(上場投資信託)と物理的な金の購入です。この記事では、それぞれの投資方法について詳しく説明し、どちらが賢い投資なのかを探っていきます。
1. 金のETFとは?
【金のETF(上場投資信託)】は、金の価格に連動する投資信託の一種です。証券取引所に上場されているため、株式のように取引することができます。具体的には、金ETFは以下のような仕組みを持っています。
- ・仕組み
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金ETFは、投資家から集めた資金をもとに金を購入し、その金を保有します。ETFの価格は金の現物価格に連動して変動します。
- ・取引の手軽さ
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株式と同様に証券取引所で取引されるため、インターネットを通じて簡単に売買することができます。
- ・少額投資が可能
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金の現物を購入するにはまとまった資金が必要ですが、金ETFは少額からでも投資できるため、手軽に金に投資することができます。
- ・保管の手間が不要
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物理的な金を保有する場合、保管場所の確保や盗難対策が必要ですが、金ETFではそうした心配がありません。
2. 金のETFのデメリット
- ・信託報酬がかかる
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金のETFには信託報酬(管理費用)がかかります。これはETFを運営するための費用であり、毎年一定の割合で資産から差し引かれます。この費用は長期的に投資する際には考慮すべき点です。
- ・市場リスクがある
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金ETFは金融商品であるため、証券取引所の市場リスクにさらされます。市場の急激な変動や取引停止などのリスクが存在します。
- ・配当金がない
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金ETFは金の価格に連動するだけであり、配当金は支払われません。これは、金そのものが利子や配当を生まない資産であるためです。
- ・信用リスクがある
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金ETFを発行している運営会社の信用リスクも存在します。運営会社が破綻するリスクは低いですが、ゼロではありません。
3. 物理的な金とは?
【物理的な金(現物)】には、金地金や金貨があります。これらは実際に手元に持つことができる資産です。以下に、物理的な金の特性と利点を挙げます。
- ・実物資産
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手元に持つことができるため、物理的な実感があり、心理的な安心感があります。
- ・価値の保存
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金は長期的に価値を保ちやすい資産であり、インフレーションや経済の不安定さに対して強いです。
- ・保管の課題
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物理的な金を保管するには、安全な保管場所や盗難防止策が必要です。また、大量の金を保有する場合には、専門の保管サービスを利用することもあります。
- ・流動性の制約
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現物の金を売却する際には、買い手を見つける手間や時間がかかる場合があります。
4.物理的な金のデメリット
- ・保管コストとリスク
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物理的な金を保有する場合、安全な保管場所が必要です。自宅での保管には盗難リスクが伴い、銀行の貸金庫を利用する場合には保管料が発生します。
- ・流動性の低さ
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物理的な金を売却する際には、買い手を見つける手間や時間がかかることがあります。即時に売却して現金化することが難しい場合もあります。
- ・売買手数料が高い
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物理的な金を購入する際には、プレミアム(販売業者のマージン)や製造コストがかかることが多く、取引コストが高くなることがあります。また、売却時にも手数料が発生する場合があります。
- ・管理の手間
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物理的な金は実際に保管・管理する必要があるため、その手間がかかります。特に多額の金を保有する場合、管理の手間は無視できません。
- ・市場価格との乖離
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金の現物価格は市場価格とは若干の乖離が生じることがあります。これは、販売業者のマージンや取引コストが影響するためです。
5.それぞれに向いている人とは?
<金のETFに向いている人>
- ・取引の手軽さを求める人
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金のETFは、証券取引所で株式のように簡単に売買できるため、取引の手軽さを求める人に向いています。インターネットを通じて、いつでも売買できる利便性が魅力です。
- ・少額から投資を始めたい人
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金のETFは1口単位で購入できるため、少額から投資を始めたい人に適しています。まとまった資金がなくても手軽に金に投資できます。
- ・保管の手間を避けたい人
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物理的な金を保有するには安全な保管場所が必要ですが、金のETFではそのような心配がありません。保管の手間や盗難リスクを避けたい人に向いています。
- ・流動性を重視する人
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金のETFは取引量が多く、流動性が高いため、すぐに現金化できることが重要な人に向いています。急な資金需要にも対応しやすいです。
- ・投資の多様化を図りたい人
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金のETFは証券口座で他の金融商品と一緒に管理できるため、投資ポートフォリオの多様化を図りたい人に適しています。株式や債券とともに金を組み入れることで、リスク分散が図れます。
<物理的な金に向いている人>
- 実物資産を所有したい人
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物理的な金は手元に保有できるため、実物資産としての安心感や満足感を求める人に向いています。現物資産を直接所有することに魅力を感じる人に適しています。
- インフレーション対策を重視する人
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金はインフレーションに強い資産とされており、通貨の価値が下がるときでもその価値を保ちやすいです。インフレーション対策として実物資産を保有したい人に向いています。
- 金融システムへの依存を避けたい人
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物理的な金は金融システムに依存しないため、金融危機やシステム障害時にも安心です。金融機関のリスクを避けたい人に適しています。
- 長期的な価値保存を目指す人
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金は長期的に価値を維持する資産です。世代を超えて資産を保有したい人や、長期的な価値保存を目指す人に向いています。
- 配当金や利子を求めない人
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物理的な金は配当金や利子を生まないため、これらを必要としない人に適しています。金そのものの価値を重視する人に向いています。(←そんな人はいないとは思いますが、、、)
金のETF vs. 物理的な金のまとめ
金のETFと物理的な金には、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。
金のETFは取引が簡単で低コストですが、金融市場の影響を受けやすい点や実物資産としての安心感がない点がデメリットです。
一方、物理的な金は実物資産としての安心感や長期的な価値保存が魅力ですが、保管コストや盗難リスクがあります。
どちらが賢い投資かは、投資家の目標や状況によります。短期的な取引や流動性を重視する場合は金のETFが適しており、長期的な保有や安全資産としての価値を重視する場合は物理的な金が適しています。投資家は、自分の投資目標やリスク許容度に応じて、適切な投資方法を選択することが重要です。
こちらは過去40年の金の価格の推移です。
ここ数年は上値1500ドルで下値1200ドルで安定しています!
このグラフを見ると情勢に大きく左右されずに戦争や感染症が流行した際も盤石な価値を維持していることが伺えます。
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