金への投資PT.5〜インフレや不況時における金の価値〜

金塊

過去5回に渡って解説してきた金への投資についてですが今回で最終回ということで今日は金がインフレや不況時にどのように価値を保全する手段として機能するのかを、解説します。

目次

1.インフレ時に金が選ばれる理由 

 インフレーション(物価上昇)や不況時には、金の価値が見直され、多くの投資家が金を選ぶ傾向があります。今回は、なぜインフレ時に金が選ばれるのか、その理由を詳しく解説します。

1. 通貨価値の下落からの保護

インフレが起きると、一般的には通貨の価値が下がり、物価が上昇します。これは、紙幣や預金の実質的な価値が低下することを意味します。一方、金はその希少性から、長期的に価値を保持する傾向があります。金は通貨の価値が下がる局面でも、その購買力を維持しやすいため、資産の保全手段として選ばれます。

2. 信頼のある価値の保存手段

金は何千年にもわたって価値を保持してきた実績があります。歴史的に見ても、金はどの文化や時代においても価値が認められてきました。インフレ時には不確実性が高まり、投資家は信頼できる価値の保存手段を求めます。金はその安定性から、信頼できる資産として支持を集めます

3. 供給量の制限

金の供給量は自然に限られています。新しい金を採掘するには多大な時間と費用がかかるため、市場に流通する金の量は比較的安定しています。これは、中央銀行が容易に供給量を調整できる通貨とは対照的です。供給が制限されているため、需要が増加するインフレ時にも金の価値は下がりにくいのです。

4. 国際的な価値

金は国際的な価値を持ち、どの国でも認められる資産です。インフレ時には一国の通貨価値が下がることがあるため、国際的に価値が通用する金への需要が高まります。これにより、金は地政学的な不安定性や通貨の価値低下に対するリスクヘッジとして利用されます。

5. 実物資産としての魅力

インフレ時には、株式や債券などの金融資産の価値が揺らぐことがあります。金は実物資産であり、実物資産は金融システムの影響を受けにくいため、安心感を与えます。特に、金融システムへの不信感が高まると、実物資産である金の需要が増えます

6. インフレヘッジとしての実績

歴史的なデータを見ても、インフレが高まると金の価格が上昇する傾向があります。これは、投資家がインフレヘッジとして金を購入するためです。例えば、1970年代のスタグフレーション期には、金の価格が大幅に上昇しました。このような実績があるため、インフレ時には金が選ばれるのです。

スタグフレーションとは、、、
経済の停滞(スタグネーション)と物価の上昇(インフレーション)が同時に発生した異常な経済状況を指します。
主な理由はオイルショックや一時的な経済成長率の低下だと言われています。


 インフレ時に金が選ばれる理由は、その通貨価値の下落からの保護、信頼のある価値の保存手段、供給量の制限、国際的な価値、実物資産としての魅力、そしてインフレヘッジとしての実績にあります。金は、歴史的にも経済的にも安定した価値を持つ資産であり、不安定な経済状況下でのリスクヘッジとして最適です。

2.不況時に金が重宝される理由

金は無利子資産

通常、金は利子を生まないため、平時には利子や配当を生む資産(例えば債券や株式)に劣ると見なされることがあります。しかし、不況時には金利が低下する傾向があるため、無利子であることが相対的に魅力を増します。金利が低い環境では、金の持つ安全性が際立ちます。

金融システムからの独立

不況時には、金融システム全体が不安定になることがあります。銀行破綻や金融機関の経営危機が発生すると、預金や債券などの金融資産がリスクにさらされます。一方、金は金融システムに依存しないため、金融危機の影響を受けにくいという特長があります。

地政学的リスクのヘッジ

不況時には、経済的な不安だけでなく、政治的な不安定や地政学的リスクも高まることがあります。国際的な紛争や政策の変動が起きると、通貨や他の資産の価値が不安定になることがあります。金は国境を超えた普遍的な価値を持つため、こうしたリスクに対するヘッジとしても効果的です。


 不況時に金が重宝される理由は、無利子資産としての特性、金融システムからの独立性、そして地政学的リスクのヘッジ能力にあります。金は経済的不安定な時期において、資産を守るための効果的な手段として多くの投資家に選ばれるのです。

3.金投資のこれから

  2023年8月現在、金価格は1,900ドル台で推移しています

                <出典 TradingView

 2000年~2023年までの期間を見ると、金価格は長期的見れば上昇トレンドで推移していると言えます。
 しかし、常に上昇しているのではなく、上昇・下降を繰り返して上昇トレンドを形成しています。
 今後の展開について、結論から言えば、上昇と下落の両方に備えておく必要があります。

<上昇トレンド予想>

今年(2024年)において米国金利の利下げが見込まれています
通常、金の価値と金利は反比例の法則であり、金利が下がれば、金価格は上昇する傾向にあります。
つまり米国の金利が下げ始めるのであれば、金価格は上昇していくと考えられます。

<下降トレンド予想>

金の価格ですが、2023年からは史上最高値を更新していて、裏を返せば短期的には買われすぎている状態とも言えます。
大手投資家による利益確定の為の売り注文が執行される可能性もあり、これにより一時的に大きく下落が発生する可能性もあります。
これによって別の投資家たちからの売り注文も誘発させてしまい、一時的な急落も考えられます。

しかし、昨今のウクライナ事情や台湾問題等、世界経済に影響を与える問題が次々と発生していることを考えると金の需要は高まり、価格の上昇が期待できると思います。
ただ、前記した通り金の価格は上昇・下降を繰り返して上昇トレンドを形成しているので、不用意なタイミングで購入するのではなく情勢を見極めて買う必要があります。 
 

インフレや不況時における金の価値のまとめ

 金はインフレや不況時に価値を保つ手段として非常に有効です。その希少性と耐久性から、長期間にわたって価値を保つことができ、特に経済不安が高まる時期には安全な投資先として選ばれます。    金への投資方法にはさまざまな選択肢があり、それぞれのメリットを理解し、自分の投資目的に応じて適切な方法を選ぶことが重要です。最終的には、投資の目的を明確にし、リスクを理解して慎重に投資を進めることで、金の価値を最大限に活用することができます。

金塊

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次