厚生労働省の「就労条件総合調査」では
退職金の推移が
1997年で2871万円だったものが、2023年では1896万円となっています。
26年間で約1000万円減少していることになります。
今回の記事では
・日本企業の退職金制度を取り巻く現状
・どうやって資産形成していくか
を解説していきたいと思います。
退職金制度の現状
<昨今の退職金制度のトレンド>
①退職金制度がある企業は減ってきている
②年金形式で退職金を支払う企業は減ってきている
③退職金の支給額は減ってきている
①退職金制度のある企業は減ってきている
2023年時点で日本企業の4社中3社が退職金制度を導入しています。
2023年の段階で退職金制度を採用している企業は約75%であり採用していない企業は約25%です。
しかし、1993年時点での退職金を導入している企業は約92%で採用していない企業は約8%です。
となっており年々採用しない企業が増えてきている現状なのです。
企業側からすると、、、
退職金制度なんて設けたくない!
なぜこのような結果になっているか、「経営者側の立場」になって考えてみましょう。
会社側からすると、<毎年利益を出し続けるのは難しい>にプラスして<20.30年後に支払う社員の退職金も確保しなければならない>のでありかなりの負担であると言えます。
社員の気持ちを一旦置いといて、会社の経営の立場で数字だけで考えた場合、退職金制度はかなりの負担になります。
先行き不透明な現代において20.30年後の事なんて想像も出来ないのに退職金制度を維持するのはかなりの負担になります。
なのでこれらの理由によって退職金制度を導入しない企業も増えていると言えます。
②年金形式で退職金を支払う企業は減ってきている
退職金の支払いパターンは大きく分けて2パターンあります。
1.一時金で支払う
2.年金として支払う
例えば、、、、
退職金の総額が2000万円の場合、、、
1000万円を退職時に支払う。<一時金形式>
残りの1000万円を年利数%で運用しながら支払う<年金形式>
企業側の負担が重いのは、<年金形式>です。
60歳定年で退職金を一時金で支払う場合は、企業側からすると払った時点で従業員との関係は終わることになります。
しかし20年かけて年金形式で支払う場合、60歳で定年を迎えた後の80歳までの間の20年間でそれなりの利回りで運用しながら毎年一定額を払い続けなければなりません。
年金形式は企業にとってはかなりの負担ではあるが、従業員から見れば人生設計を立てやすいと言うメリットがあります。
退職金を年金形式で支払っている企業の割合は、
1992年時点では約49%であったのが、2023年時点では約23%まで低下しています。(厚生労働省 「就労条件調査」による)
この30年で激減しているのです!
企業側からすると、、、
君の人生面倒見てられません!
自分でなんとかしてください!
といったところでしょうか。
③退職金の支給額が減る一方
冒頭で言った通り、退職金の支給額は年々減ってきており
1997年で2871万円だったものが、2023年では1896万円となっています。
大企業or中小企業か大卒or高卒など条件によって数字は大きく変わりますが、全体のトレンドとして大きく減ってきているのが現実です。
タイトルにもあるとおり、退職金をアテにした人生設計が時代遅れな理由を解説していきたいと思います。
そもそも退職金制度自体が高度経済成長期の産物なのです。
したがって退職金をアテにした人生設計をするのは時代遅れなのです。
当時の雇用形態といえば、、、
・新卒一括採用
・終身雇用
・年功序列
・退職金制度
です。
しかしいずれも右肩上がりの経済成長前提で作られた制度なので現代の経済状況では成立しない制度なのです。
実際のところなぜ<終身雇用><年功序列><退職金制度>は無くなっていくと言えるのでしょうか?
それはこれらは全てアメリカで起きたことなのだからです。
アメリカって成果主義で厳しそうなイメージがある、、、
かつてNYダウを構成していた米国の大企業も現在の日本企業のような雇用形態をしていました。
しかし競争が激しくなっていくに従って、従業員の一生を面倒見ることができなくなり、現在の成果主義のビジネスモデルが定着していったと言えるのです。
個人の寿命が伸び続けている中で、企業・ビジネスモデルの寿命は縮み続けています。
企業・ビジネスモデルの短命化や長寿化によって、退職金制度が維持できなくなるのは仕方のないことだと思います。
なので、何があっても生きて生きる強い個人になろう!
そう言う時代になってきているのです。
どうやって資産形成していこう、、、
これからの時代は
「国民全体が投資家」にならざるを得ないと言う時代になっていると思います。
資産形成の重要性
日本のような<低成長の成熟国>においてそれなりの資産を作りたいと思ったら、他の成長国や成長企業の株主となり恩恵を与るのが非常に重要になってきます。
日本政府はこれからの退職金制度の危うさにわかっているから、
「新NISA」や「iDeCo」といった投資優遇制度を利用した、「長期・積立・分散投資」を推進しているのです。
退職金制度・企業年金の廃止、退職金の減少などの状況の中で自分の生活を守るためにはお金の知識が必要不可欠なのです。
まとめ
退職金制度をアテにした人生設計はもはや時代遅れです。
<退職金制度のトレンド>
①退職金制度のある企業は減ってきている
②年金形式で退職金を支払う企業は減ってきている
③退職金の支給額は減ってきている
個人の寿命が伸びて、企業の寿命が縮んでいっている今の社会では退職金制度を維持できなくなることは仕方のないこと。
なので強い個人になろうと言うことなのです。
そのためには全国民が投資家にならざるを得ないのです。
このような状況を乗り切れるのは
日々勉強して行動している人達なのです。
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